お伊勢まいり、二日目

早朝参拝

さて伊勢2日目。前日に予約していた早朝参り。
朝の6:30に集合、朝食前に約一時間半かけて職員(この日は20代前半のおねえさん)の方が内宮を案内して下さる。(無料というのもありがたい)
この日の参加者は、3人組のおばさまグループ、50代くらいの夫婦、妙齢のおひとりさま(私)の計6人。みんなで歩いて内宮まで。参拝客が本当に数えるほどしかいないので、より一層神聖さが漂い、心が洗われるよう。


ところで伊勢におまいりすることを「おかげ参り」という。
これは、「おかげさまで、これまで元気に過ごせました」という感謝の気持ちを伝えるもの。修行のための参拝や、死後の極楽浄土行きを願うそれとは違い、今無事に過ごせることを感謝する参拝とのこと。ガイドのおねえさんにこう教わるまで、感謝の気持ちを述べるどころか、いつも通りの欲望にまみれた祈りを捧げることしか考えていなかった自分に愕然。反省しつつ、健康な体でここに来られたことを感謝し手をあわせる。


ひととおり参拝し終わった後、神楽殿へ立ち寄り、お守りやお札などを購入。
「30になるのにまだ結婚しないのがうちにいてねぇ」とお守りを買いに走るおばさんを見て、うちの親もここに来たらきっと同じ行動に出るのだろうなあ、とチクリと胸が痛くなる。でもそんなこと言ったってしょーがないので(苦笑)とりあえず他の面で親孝行するしかないなあと、両親の健康祈願用のお守り、それと結婚や出産を控えている友人たち、もちろん自分用もどっちゃり購入。ちなみに外宮と内宮ってお守りが違うんだろうか?と気になり、窓口で伺ってみたら同じものとのこと。


今回の思わぬ収穫が、お守りを買った時にいただいたこの紙袋と御朱印


さすが総本山!とひれ伏したくなる、一切の無駄がないミニマルなデザインにしびれる。頂いたのがこの1枚だけだったので人にあげるのがもったいなくて(笑)、たたんでクリアファイルに保存してあります。

紙袋の左に写っているのは伊勢神宮御朱印帳。今まではどこの神社仏閣を訪れても、「ごしゅいん?なにそれおいしいの?」状態だったんですが、紙袋と同じく究極にシンプルでありながらその格のあるご朱印のデザインに惹かれ、その場で御朱印帳(1,000円)を購入して押して頂きました。ちなみにこの御朱印帳は私が宿泊した「神宮会館」でも買えるようです。(電話・FAX・Eメールでも購入可)
http://www.jingukaikan.jp/kaikan/shop5shuin.html

おはらい町へふたたび。

清々しい気分で宿に戻り朝食を取り、チェックアウト後におはらい町を散策。

散策といっても私の場合は食べ物を中心にルートが決まるわけで、なにはともあれ、伊勢に来たならここに行かないと!ってことでまずは赤福本店。消費期限偽装による営業停止から復活して約半年。すっかり落ち着きを取り戻した本店で食べる出来立ての赤福はやっぱりやっぱり美味しかったのでした。(一人で一箱食べるほど好き)



なんとここの営業は朝の5時から。出来たての赤福3つに番茶がついて、税込み280円!の良心価格。この餡の上の三本の筋は五十鈴川の清流を、白いお餅は川底の小石を表現しているそうな。今まで数え切れないほど食べた赤福にそんな意味があったとは。
ちなみに帰宅後に関西のお友達から聞いて知ったことですが、夏限定で「赤福氷」というものがあるそうで。うん、完全に見落として食べ損ねましたよーっと。次回...また夏に来ようっと。(涙)
この赤福店内で、早朝参りでご一緒したおばちゃんたちに遭遇し会釈。妙齢の女が一人旅、なんと言われてることやらと心中苦笑しながら営業用スマイルを返す。


次はおかげ横丁にある「豚捨」(ぶたすて)。
http://www.okageyokocho.co.jp/shop/butasute.html
伊勢の和牛の通販・お取り寄せ 三重産和牛の老舗 名産伊勢肉「豚捨」

ここはすき焼きの名店。店名は「豚を捨てるほどうまい牛を出す」ことからきているそうな。開店当時の牛と豚に対する価値観の違いやこの地方ならではの牛に対する思い入れの強さが表れているんだろうなあとは思うものの、結構ひどいネーミングです(笑)。林真理子が『美女入門』で書いていたすき焼きや名物の牛丼も気になったけど、なにぶんランチ前のためコロッケ1個85円だけ買い食い。揚げたてアツアツ。お店前にあるベンチですぐにかじりつく。味はちょっと期待しすぎたかな、いたって普通。やや甘さ強めのコロッケでした。

ランチ@フレンチレストラン「ボン・ヴィヴァン」

バスで外宮前まで移動。ランチは外宮前にあるフレンチレストラン「ボン・ヴィヴァン」で。
フランス料理 Bon vivant – 伊勢神宮外宮前のフランス料理ボンヴィヴァンは伊勢海老、松阪牛など、自然の恵み豊かな伊勢志摩の食材にこだわったお店です。
大正12年に建造された郵便局電話分室だったというお店は、天井が高くクラシカルな空間にアンティークの調度品が置かれ、格式高くもかわいらしい雰囲気。

今回はコースでオーダー。時間が経ってしまって料理の名前や詳細はあまり憶えてない(ひどい)のですが、伊勢志摩の食材をふんだんに使ったメニューはどれも彩りも美しく食べていて幸せになるものばかり。

実は、ここを含め全国3軒でしか味わうことのできない「やいこ」(脱皮したての伊勢海老)を食べて来い!という指令がグルメ仲間である親友から下っていたのですが、やいこが食べられるのは1万〜のコースのみ。それだけ出しても食べたいものかな?とちょっと考えてやめました。話のネタにはなるけどね。その代わり、メインは松阪牛の部位の中でも特に希少な「みずほ」(お尻のお肉の中で一番柔らかい部)と「いちぼ」の盛り合わせに。調理前の生の状態を焼く前に見せてくれたり、さりげない演出やあたたかいサービスがうれしい。





一人で東京から来たと話す私に、観光マップなどを持ってきて大変親切におすすめスポットなどお話くださり、帰りは従業員の方みなさんで外まで見送ってくれました。この日は暑さと眩しさに目がくらみそうな天気でしたが、胃も心も満たされ、気持ちよく午後の出発ができました。ありがとうございます。

二見岩

バスに乗り、二見岩前で下車。

2時間ドラマや旅番組などで何度も見てきたこの場所。この「夫婦岩(めおといわ)」は神が立ち寄る場所といわれ、快晴の日には男岩と女岩の間の彼方に富士山が見えることもあるそう。夏至には二つの岩の間から日が昇る、なんて神秘的!

二見岩から歩いてすぐにある「賓日館(ひんじつかん)」へ。

ここは伊勢神宮に訪れた賓客の休憩・宿泊施設として明治20年に建設され、大正天皇など歴代諸侯族が滞在された文化財。現在は宿泊施設ではなく資料館として営業。



「御殿の間」。


120畳の大広間。圧巻です。

天井、ふすま、屏風...置かれた家具一つ一つをとってもため息が出るほどの雅さにうっとりし、こういうところに住みたいんだよなあ...と非現実的なことをつぶやきながら、ひと部屋ひと部屋ゆっくり見学。2回の窓からは望む二見浦の海、そして敷地内の手入れされた庭は大変美しく、どこを切り取ってもまるで一枚の画のようでありました。

飽きずに鳥羽へ。

賓日館見学後は、またしても鳥羽へ。どうしてもあの鳥羽国際ホテルのラウンジから夕日が見てみたくて。
周遊バスの時間が合わなかったので、ふと電車に乗ってみてもいいかも、と気まぐれに最寄駅に向かってみる。(と思ったら結構歩いた...暑かった...) ところが駅に着いたら着いたで、電車は発車したばかり。次の列車到着まで30〜40分ほど(苦笑)。東京にいたら、待ってる時間が無駄!と他の手段をとってあくせく移動していたかもしれないけど、よく考えたら別にこの後の約束があるわけでもなく、むしろ帰宅を明日にしたって構わない身分。別に急ぐことないじゃんね、と地元のおじいちゃんや学生さんの横に並んでベンチでぼけーッとしながら電車を待つ。そんな時間も新鮮だったのでした。


ホテルラウンジに到着し、またしても海を見ながらお茶。サンセットが見たくて来たはずが、いつのまにか、鳥羽湾に浮かぶあるものに目が釘付けに。


これ。

http://www.shima-marineleisure.com/ryugujyo.html

風光明媚ってこういうこと!と思える穏やかで美しい海に、全くもって調和する気などありませんと言わんばかりの、人工的な色彩と過剰で安っぽい装飾の施された遊覧船。

いったいどうしたらそんなに悪趣味に造れるんだろう、と疑問に思いながら海に浮かぶ遊覧船を見ていたら、むしろ実際船に乗りこんでそのディテールを確認したくなってしまった。即行、携帯で船の出発時間を調べ、まだ最終便に間に合うことを確認し、丘を下り遊覧船切符売り場へ走る!
残念ながらお目当ての「竜宮城」はもうクルーズが終了、やってきたのは別の船だったんだけど、せっかくなのでクルーズそのものは楽しんできました。乗客は、私と、外国人観光客の女性二人、の計3名のみ。







降船後、停泊している「竜宮城」を港から撮影。近くで見るとより一層強烈(笑)。


こういうものを観光地で見ると私はなんだかとっても切ない気分になる。船に限らず今回乗った観光バスや客寄せの建築もそうなんだけど、それだけで十分魅力的である場所が、過剰な装飾を加えることで本来の魅力が損なわれてしまうことがとてつもなく哀しい。
きっとそこには、土地に不慣れな人でもすぐにわかるように、とか観光地なんだからもっと目立たせなきゃ!アピールしなきゃ!という強迫観念みたいなものがあるんだろうけど、その意図が変な方向に表れてしまうのはどうにかならないものだろうか。必ずしも悪趣味にならずとも目立たせることは可能なはずで、その土地その土地に合った調和ある目立ち方、があると思うんだけどなあ。酒井順子さんが言うところの"観光の哀しみ"がここに。

観光の哀しみ (新潮文庫)

観光の哀しみ (新潮文庫)


実は鳥羽国際ホテルのお部屋がもし空いてればもう1泊しようかと思っていたんだけど、確認したのが遅い時間だったからかあいにくこの日はもう満室。オフシーズンかつ平日でも結構稼働率は高めのようです。この日たまたまだったかもしれないけど。確かに建物は古いけれど、確かな上質さが漂うホテル。今度は両親を連れてここのスイートに泊まろう。そして次こそはあの竜宮船に必ず乗る!と誓い(笑)、近鉄に乗り込んだのでした。


これは途中停車した「津」駅で。ひらがな一文字の表記が珍しくて思わず撮ったけど見事にブレています。

今回、名古屋と伊勢の間に位置する「松阪」には特に立ち寄らなかったので、せめて名物の駅弁(↓これ)が食べたい!と思っていたんだけど、停車時間を調べてもらったら残念ながらお弁当を買うほどの猶予はなく断念。


今回は車内移動中に食べるお弁当のリサーチが甘かったなあ...とちょっと悔しがりつつ、とはいえ、電車に揺られながら湧き上がるのは、心地よい疲労感と充実感。今回も大変いい気まぐれ一人旅でありました。しかしこんなに一人旅が楽しいと、人と旅行するのがえらく億劫になってしまうなあ...(それはそれで楽しいんだけどね) 

反省点も踏まえて次回行きたいところなどメモ。

食べ物
  • 「豚捨」の牛丼、すき焼き
  • 伊勢うどん
  • 「カンパーニュおはらい町店」のシュークリーム
  • 鳥羽国際ホテルの「シーホース」でランチ/ディナー(と宿泊も)
  • 志摩観光ホテル「ラ・メール」 黒鮑のステーキ(美味しんぼで読んで憧れた)
  • 松阪で松阪牛「和田金」もなんだかんだで1回は行ってみたい
  • プライム・リゾート賢島内「hd'or(アッシュ・ドール)でランチ/ディナー
  • 松阪駅の駅弁「モー太郎弁当」 停車時間が短くて断念したもの。次回は松阪に立ち寄って牛を堪能。
宿泊
  • 星出館
  • 麻吉旅館
  • 鳥羽国際ホテル 
  • 志摩観光ホテル(華麗なる一族ごっこ
  • 志摩観光ホテルベイスイート
  • タラサ志摩
その他観光メモ