お伊勢まいり、一日目

1泊2日ひとりでふらりと行った、初めてのお伊勢まいりのこと。

名古屋→伊勢

名古屋にて新幹線下車。近鉄に乗り換え。伊勢市駅まで1時間20分くらい。(「快速みえ」という電車でも同程度の時間で行ける)

駅でお弁当の調達をしたかったけど、これは!と思うものが構内の売店では見つからず適当にてんむすなど買い込み(次回のために要リサーチ!)近鉄特急に乗りこむ。
車窓の景色に工場がやたら目に入るようになったな、と思ったら、そこはかつて「公害」「四日市ぜんそく」で全国に名を広めた「四日市」だったのでした。小中学生の頃から教科書で叩き込まれたこの土地の名前を私は一生忘れないだろうな、とこの国の高度経済成長期を支えた街のひとつを哀悼と感謝の念を送りつつ通り過ぎる。

今回も、ピンポイントで絶対に行きたい場所をいくつか決めている以外は、その時の気分に任せるほぼノープランの旅。「伊勢神宮」と一口にいっても正確には「外宮」と「内宮」があり、神宮参拝は「外宮」→「内宮」の順にお参りするのがお伊勢まいりの正式な順序。そんなガイドブックを見て得た即席知識をもとに、なにはともあれまずは「外宮」に足を運ぶ事を決め「宇治山田」駅にて下車。

土地勘のない場所に行くとき私はまず「周遊バス」に乗ってみることが多い。電車よりも街の景色や雰囲気が細部まで見えるし、おおまかな街の構図や中心街との距離感をこれでつかめるから。ということで今回も、駅のバス切符売り場にて2日間乗り降り自由のフリーキップ「CANバス」2days(1600円)を買い、いざ外宮へ。
http://www.sanco.co.jp/travel/canbus/

外宮へ。

バスでひとつかふたつ。宇治山田駅からすぐの場所にひっそりと、でも壮大に外宮は広がっていた。

これは「火除橋(ひよけばし)」。
ちなみに外宮内は左側通行、内宮内は右側通行で歩くのがマナー。

外宮正宮。

「亀石(かめいし)」

境内の勾玉池(まがたまいけ)はご近所の人々の憩いの場。地元のおばちゃんにどこから来たの?と話しかけられ、しばしお話などしてみたり。食物と産業の神様という日々の暮らしに関わりの深い神様を祭っているだけに、静寂で神聖な雰囲気でありながらこの土地の人々の生活に溶け込んでいることを実感。

宿

外宮からタクシーで本日の宿「神宮会館」へ。

内宮から最も近い宿泊施設というのが決め手で迷わずここに。今回は参拝が一番の目的なわけだし、はなから華美なものなど求めていなかったんだけど、そもそもこの街には(少なくとも内宮周辺には)そういった洒落っ気のある宿がほとんど存在していないよう。(それが当然だし、今後もむしろ作らなくていいと思うけど)この宿では、毎日希望者があれば内宮の早朝参拝を行っており、チェックイン時に案内があったので申し込んでおく。
質素だけど清潔で快適なお部屋。

鳥羽へ。

一息ついた後、宿から歩いて5分程度の内宮へ様子を伺いに行ってみる。外宮とは違って、入り口前に観光バスが何台も止まり、人の出入りも多い。初めて足を踏み入れるのはもう少し人が少ない時間帯がいいな、ととりあえず乗り放題のバスで鳥羽まで行ってみることに。(伊勢と鳥羽は本当にお隣町。内宮前からバスで40分弱。)


途中、「にゃんまげ」で有名な「伊勢・安土桃山文化村」も通過(笑)。


鳥羽へ到着。まずはタクシーで高い丘の上に聳え立つhttp://www.tobahotel.co.jp/:title-「鳥羽国際ホテル」]へ。

事前リサーチしてみたらこのホテルのメインダイニングの評判が非常によかったのと、なんだか良ホテルな予感がしたのでちょっと様子を伺いにお茶を飲みにいってみる。距離的には駅からとても近いのだけれど、この暑い中坂道を登る自信がなく、タクシーで3-4分。
ここの「パールラウンジ」で鳥羽湾を見下ろしながら、名物のベイクドチーズケーキをいただく。ガラス張りのラウンジからの景色がすばらしい。次回はここからサンセットを見てみたい!

おはらい町・おかげ横丁

伊勢に戻り、いよいよ人も少なくなった「内宮」へ。

初めて足を踏み入れたそこは神聖で清清しくてピンとした空気が張りつめているものの、決して威圧感はなく。誰をも包み込むような、日常に溶け込んでいるような親しみと居心地のよさ。それもこの広大な太古の森に抱かれているゆえなのか。
こういうところがああ、まさに日本の神道であるなあ、とつくづく思う。威厳あるヨーロッパの老舗教会で覚えるあの威圧感を、日本の神社で感じることはない。八百万というのはこういうことかもしれないなあと素直に思える包容力。今は亡き祖父や祖母もここへ来たのだろうか、来たいと願っていたのだろうか。そしてその先祖は?そんなことを考えていたらなんだか涙が出そうに。


お参りの後はおかげ横丁を散策。といってもこの界隈の店はほとんどが4〜5時ごろにはクローズしてしまうのでご覧の通り、ゴーストタウン状態。

赤福本店。

郵便局もこの街並みに合わせた概観。

営業中の希少なお店のひとつ、「すし久」に入り名物のてこね寿司とビールで早めの夕食を。ちなみに醤油ダレに漬けたカツオの刺身を手でこねこねして食べるから「てこね寿司」。酢飯の上に乗っています。


表通りがあんな状態なので予想はしていたけど、入って見たら客は私一人(笑)。店内にはまったりとした空気が流れ、ふと窓の外を見れば、五十鈴川がさらさらと流れていた。


完食後、ほろ酔い上機嫌で宿に戻り、つんつるてんの浴衣にビルケンシュトックというわけのわからない格好で館内を探検。この時期って微妙なオフシーズンなのか、どこに行っても人が少なくてこの宿の大浴場も貸し切り状態。昼間からずっと高テンション継続なのでバタ足とかしまくり。はしゃいでバタ足で泳ぐ三十路手前(当時)女子ですみません。隣の部屋はおじさんの団体で、深夜までかなりうるさかったんだけど(苦笑)それすら笑って許せるくらいとってもいい気分で眠りについたのでした。


明日は5時起床→朝風呂→6時半からいよいよ内宮へ早朝参拝。その後は赤福(@本店)と伊勢うどんとすき焼きとコロッケとフレンチ2件(フルコース)を食したいのだが、いくら強靭な私の胃袋でもさすがに入るかどうか。いっそのこと、もう一泊してしまおうか…。あー、気ままな一人旅ってほんと最高!
(二日目へつづく)